メディア掲載 【フジサンケイビジネスアイ】ストレスオフ組織の作り方「複数グループ所属で相談者増やす」

当社では目的の違ういくつかのグループがあり、社員は所属部署以外に必ず2つ以上のグループに入ることになっている。

まずは、徹底的にお客さま目線を追求する「女子会」と「男子会」。同性だからこそ出てくるユニークな取り組みがある。先日も男子会で“メークに挑戦”することになり女子会メンバーがレクチャーしたが、このように頻繁に交流もある。世代別では社内イベントを「若者チーム」に担当させて企画力を鍛え、一任することがやりがいにもなる。一方「古株チーム」は当社の屋台骨。これまでの積み重ねを確実に伝えていく、重要なミッションだ。

そして、組織としても社員たちにも、“よりどころ”としているのが全員が必ず所属している5人1組の「クラス」だ。

目的はストレスオフ組織づくりの基本である個々の生活習慣の改善だ。早めの就寝、運動など目標はそれぞれだが、励まし、確認し合うことで維持できるようになる。「クラス」によっては、夕方集まってストレッチをしたり、LINEでグループを作って声掛けをしたり。それぞれ楽しみながら、ランチや飲み会などコミュニケーションも盛んなため、誰と同じグループになるかで毎回大盛り上がりだ。社員たちを見ているとこちらも真剣になる。メンバーは4カ月に1回のクラス替えで決めるが、中でもクラス長は性格や特性、能力などさまざまな角度から決める。制度が始まって、管理側も社員たちをより深く理解するよう努めるようになった。

社員が一つの部署の中で終始しないよう始めたグループ作りだが、筆者自身も大いに意味のある取り組みになっている。

当社は典型的な「鍋ぶた組織」で、社長と社員のマンツーマンの関係が長く続いていた。上司に言いにくいことも不満も筆者に直接ぶつけてくるのが常で、とくに女性社員は納得いくまで話を聞いてほしい傾向が強く、とことん聴いてしまう。こんな状態では社員を増やせないし、積極的な社員の陰に、口にできない社員がいることにも気づいた。そうしたことに時間を費やすうちに体調を崩してしまったが、そんな折、複数のグループ作りを始め、状況が一変した。一般的に相談を解決しようとするのが男性で、女性は話を聞いてほしいだけといわれるが、まさにそれだった。

自分の意見や気持ちを言える、これまでかかわりのなかった人に自分が理解されるグループが複数でき、筆者以外にも「居場所」ができたのだ。

「承認欲求」は女性脳発想のストレスオフ組織のキーワードだ。貢献度や努力など内容に差はあるが、筆者の経験上、組織では男女ともに承認欲求がありいじめに代表される疎外感は大きなストレスの一つだろう。

いきなり社内でのグループ作りは難しくても、まず自身が相談者や理解者を増やし、その心地よさを体感することから始めてみてはどうだろうか。(原稿:代表取締役 恒吉明美)