メディア掲載 【フジサンケイビジネスアイ】ストレスオフ組織の作り方 組織を成長させる「休み」とは?

「休み」は多ければ多いほどいい、それは本当だろうか。

組織における“良い”といわれるシステムのほとんどは、誰かの犠牲の上に成り立っている場合が多い。「休み」はまさにその一つ。有給、産休はもちろん、バースデー休暇やリフレッシュ休暇など独自の休暇を設けている企業も多いだろう。しかし、日本人は休みベタであると常々言われ、政府でも方策が検討され続けているが、効果を上げているとは言い難い。

休みは、ストレスオフのための重要なファクターだ。当社が取り組んでいる女性のストレスオフに関する研究でも休みについての調査結果をプレスリリースしたばかり。高ストレス者と低ストレス者では「休みの取り方(日数など)」に差は見られなかったのに、「休みの使い方」に大きな違いがあることがわかった。

高ストレス者は、主に「免許の更新・各種手続き」「家事」といった事務作業という回答。一方、低ストレス者は「友人と外出」「趣味」「親孝行」など他者と触れ合うグルーミング行動をしている。高ストレス者のほうが「休日の睡眠時間が長い」というのも興味深い。

「個人の休みにまで、組織が介入するのはどうか」「お節介」と思う人もいるだろう。しかし、与える・用意するだけでは社員が主体性を持って働く「自転」は促せず、「ストレスオフ組織」は成り立たない。

休みを取りさえすればストレスは軽減されるというのは、もはや組織の思い込みに過ぎないことが、前述の調査で実証された。もう一つ、あまり語られていない視点がある。休みを含むストレスオフは、体制だけを整えても「個人では活用しきれない」ということだ。

当社のストレスオフの取り組みは、「ファミラブ(ファミリー・ラブ)」と称した家族や親孝行をするための時間、一人で自分を見つめ直すためのホテルステイのプレゼントなど、実は“お節介”だらけである。

用意するだけでなく「CSO(チーフ・スマイル・オフィサー)」と称する女性役員がカウンセラーとなって社員の就業状態を把握。残業が多い社員、有休取得が少ない社員には「オフ活の日」として、年に3回、合計24時間の休みを強制的に取らせる仕組みを今年から始めた。「ランチを1時間長く取る」「朝ゆっくり出社する」など使い方は自由。さらに、社内には専門知識のある「オフ活トレーナー」もおり、業務中でもオンオフの切り替えができる活動も社員には評判がいい。

ストレス状態にあるか否かは自分自身では気づきにくい。もしそれがわかって、不調を感じても、一人では薬など一時的な対処になりがちだ。

「ストレス=個々人の抱える問題」という社会の捉え方、「ストレス=一人で抱えがち」という苦しい状況を、ストレスオフ組織では問題視している。だからこそ、社員たちのためのお節介を焼き続けるのだ。(原稿:代表取締役 恒吉明美)